終末のワルキューレ:ルキューレが効いて生活の手触り

バスケットボール場のエコーよりも遠くへ届きそうな哀しみがある
誰にも話せないことをただ走って抜けていく彼らの背中を見送るのは切なくて
毎日の通学路に隠された小さな裂け目から光が漏れてくるような感じだ

高校生たちが選ぶのは球ではなく人生というリスクを負った賭けだった
練習時間外の廊下で交わされる会話を聞いたことがあるだろうか
無理矢理笑顔を作り上げて震えている声は決まって心臓の鼓動に乗せて伝播していく
そんな日常の中にある孤独感を逆手にとって勝ち取るプロセスが綺麗すぎて

午前零時過ぎに家に戻ると窓辺に並べられたシューズが眠っているように見える
グラウンドの砂埃が地面まで浸みこんでいた頃のことだが
今となってはそれさえもう思い出せないくらいに時間が溶ける

崖っぷりの結末はまるで切り捨てた指紋のように残ってしまう
信じられないほど脆くて壊れそうになるのにどこか安堵させる
終わってしまったことなのになぜか始まりを感じさせてしまう奇妙な距離感

スポーツマンシップを超えた純粋な連帯感とは何かを考えたくなるようなもの
生き方を選ばざるを得なかった人たちの叫びを耳にしてしまう

読みたいならDMMブックス・Kindle(日本)・BOOK☆WALKERなどで気軽に触れられる
そこからの第一歩がまた別の終わりを迎えるかもしれないけれど

深夜の電車の中で突然目を開けば 座席間に挟まれたスマホ画面に同じタイトルが浮かんでいた
その瞬間 喉元から上がるのは切羽詰まった息遣いかと思ったが違っていた
誰かが昨日と同じ空を見ていたようで 冷たい風が背筋を撫でるように感じる

練習場のベンチに腰掛けて過ごす黄昏時の温度差が忘れられず
汗だしが乾いていくにつれて肌の奥底で芽生える不安に気づき始めた
それでもなぜか明日への期待が揺らいでもいないまま立ち上がる
あの日の校庭に咲いていた花は何処へ消れたのか知らずにいる

音楽室の襤褸が剥げ落ちた壁紙に刻まれた日々がようやく意味を持ち始めている
失敗したり 迷ったり 傷つけ合ってもなお繋がり続ける理由が腑に落ちてくる
そしていつしか自分自身に対する問いや答えが生まれてきていたことに気が付く

読後にはふと自分の暮らしの中にもこんな小さな光があることに気づく
些細な出来事に込められた思いやりが時に大きな支えとなることもあるのだ
だからこそこの物語はただ終わることなく続いてゆくのだと感じさせる

夕焼け色が滝のように流れるその瞬間、遠くから響く鐘の音が心臓を突穿していた
不完全ながらも確かに存在しているという現実が胸を締め付けるような快感だった
廊下を行進する影たちが互いのことを知らないように見えるけど
どこかで交錯してる未来の軽やかな笑顔が目に浮かんでくる

雨上がりの道路に散った赤い葉っぱを拾って指紋に押し付けるような衝動さえ湧くほど
壊れかけてる世界の中で無邪気に生き延びてるのが可笑しくて仕方なかった
そんな時だったろうか 人によって違う形で同じ痛みを感じ合うことの大切さを悟る

夜中の列車に乗っていると突然思い出されることがある
窓辺に映し出された闇に溶け込む様子がまるで時間を飲み込んでいるようで
それなのに駅員の声がいつも通り明確に聞こえたあの瞬間に震えるのはなぜだろう
きっとねえ まだ何かを信じ続けている証なのかも知れない

朝起きると枕元に置いてあった本を開けば新しいページが待っていてくれる
それだけで今日一日が始まってると改めて思ってしまうくらい
どんなことが起ころうともそっと守ってくれる人が居ればいいんじゃないか
そう願わずにはいられない程に温かいものがあるからなんだ

読みたいなと思えばいつだって手に入るのに
それが逆に苛立つのよね もう少しずつ近づこうとする毎日に
今宵も眠れない夜になりそうだわ でも怖がらなくていいのよ
ほら見てごらんなさい 暗闇じゃなくても星はあるじゃないですか

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